フランチャイズへの加盟によって身に付けたノウハウを使って、同種の事業を単独で開業することは、競業禁止義務に違反するので、結論からすると許されないと考えるべきです。
ノウハウ等の営業秘密は、本部の生命線だからです。
そのため、ほとんどのフランチャイズ契約には、秘密保持義務条項や競業禁止義務条項が設けられています。
また、多くのフランチャイズ契約では、契約終了後も一定期間は競業禁止義務が存続するとされていますので、フランチャイズに加盟して、ノウハウを身に付けた後に、独立して同じ業種を開業することは競業禁止義務に反することになります。
ただし、加盟店も独立した事業者として営業の自由を有することから、フランチャイズ契約終了後においても無限定な競業禁止義務を課すことには問題がないとはいえません。
独占禁止法フランチャイズ・ガイドラインでも、「本部が加盟者に対して、特定地域で成立している本部の商圏の維持、本部が加盟者に対して供与したノウハウの保護等に必要な範囲を超えるような地域、期間又は内容の競業禁止義務を課す」ような場合には、優越的地位の濫用に当たるとされています。
そのため、フランチャイズ契約終了後にまで競業禁止義務を課す場合は、期間や場所を合理的範囲にまで限定すべきであると考えられています。
一般的には、フランチャイズ契約終了後の競業禁止義務の存続期間は、2年程度と考えられていますが、裁判例においては、競業禁止義務の存続期間の定めがない(つまり永久)競業禁止義務規定を有効としたものがあり、2年以上なら無効と考えるのは早計というべきで、注意が必要です。